月刊J-LIS 2020年8月号

マイナポイントとはどんな制度?

1 はじめに

 いよいよ本年9月から「マイナポイント事業」がはじまります。
 本事業は「安心と成長の未来を拓く総合経済対策」(令和元年12月5日閣議決定)やデジタル・ガバメント閣僚会議における「マイナンバーカード及びマイナンバーの利活用の促進について」(令和2年6月5日閣議決定)に位置づけられており、
 ①個人消費の下支え
 ②マイナンバーカードの普及
 ③キャッシュレス決済の拡大
の3つを目的とした事業であり、7月からマイナポイントの申込を受け付けています。
 ここでは、マイナポイントの付与及び利用が始まる9月を前に、マイナポイントの制度概要やマイナポイントをもらうための手続きについて、わかりやすく、かみ砕いて解説します。

2 マイナポイントとは?

 「マイナポイント」とは、「マイナンバーカード」を取得した上で、一定の手続きを行った人に付与されるポイントのことです。お好きなキャッシュレス決済サービスを選んで本年9月から令和3年3月末までの間にチャージ又は買い物をすると、1人あたり上限5,000ポイント(付与率25%)をもらうことができます(図ー1)
 マイナポイント事業は上述したとおり、以下の3つの目的で行われるものです。

(1)個人消費の下支え

 マイナポイント事業は、2万円のチャージ又は買い物をすると5,000円のポイントが付与されるもので、この5,000円のポイント分を国費で補助し、2万5,000円の消費につなげようとするものです。
 昨年10月に消費税率が引き上げられたことに伴い、

  •  ①  低所得者・子育て世帯向けプレミアム付商品券
  •  ②  中小・小規模事業者の店舗においてキャッシュレス決済手段を用いて支払いを行う消費者へのポイント還元
という2つの消費活性化策が展開されました。
 プレミアム付商品券事業は本年3月末まで、ポイント還元事業は本年6月末まで実施されており、ポイント還元事業の終了後、第3の消費活性化策として、マイナポイント事業が位置づけられています。消費税率引き上げ後の消費の平準化としての位置づけに加えて、新型コロナウイルス感染症が景気全体に与える影響も踏まえ、より重要な役割を担うと考えています。

(2)マイナンバーカードの普及

 マイナポイントの付与は、マイナンバーカードの取得が前提条件となることから、マイナポイントによる消費活性化策は、マイナンバーカードの普及にもつながります。マイナンバーカードは、感染症や災害の発生時に、対面での手続きを減らすためのツールとなり、その重要性が高まっています。
 マイナンバーカードは、本年7月1日現在で約2,225万枚を交付しています。マイナポイントは4,000万人分を対象としており、さらなるマイナンバーカードの普及を促進しています。

(3)キャッシュレス決済の拡大

 マイナポイント事業は、ポイント還元事業により普及が進んだ民間キャッシュレス決済基盤を活用して、さらなるキャッシュレス決済の拡大を図るものです。新型コロナウイルス感染症下では、直接現金に触れることなく決済ができるキャッシュレス決済への期待も高まっているところです。
 また、当該事業を通じて、「行政サービスと民間サービスの共同利用型キャッシュレス決済基盤の構築を目指すこと」(「経済財政運営と改革の基本方針2019」(令和元年6月21日閣議決定))ともされており、マイキープラットフォーム(マイナポイントが運用されるシステム)等の官民での活用や民間の各種ポイント等との交換の検討を通じて、地域における様々な行政サービスについてポイントを用いて提供することを想定するとともに、国や地方公共団体が実施する各種の現金給付をポイントで行うことも視野に入れています。

図-1 マイナポイントによる消費活性化策

図-1 マイナポイントによる消費活性化策

3 マイナポイントをもらうためには?

 マイナポイントをもらうためには、3つのステップがあります。
 1つ目は「マイナポイントの予約」、2つ目は「マイナポイントの申込」、3つ目は「マイナポイントの取得」です(図ー2)
 ここでは、マイナポイントの予約と申込に焦点を当てて解説します。

(1)マイナポイントの予約

 マイナンバーカードを持っている方は、今すぐマイナポイントの予約が可能です。
 マイナポイントの予約は「スマートフォン」(マイナンバーカード読取対応機種に限ります)又は「パソコン」(別途カードリーダライタが必要です)から24時間いつでもオンラインで行うことができます。
 スマートフォン(iPhone端末の場合)での予約の場合、まずは「マイナポイントアプリ」をダウンロードしましょう。アプリを起動し、「マイナポイントの予約」をタップします。画面の指示に従いマイナンバーカードの申請時(もしくは受取時)に設定した「数字4桁のパスワード」(利用者証明用電子証明書のパスワード)を入力してください。するとマイナンバーカードの読み取り画面に遷移しますので、スマートフォンの下にマイナンバーカードをセットし、カード情報を読み取ります。読み込みが完了したら「発行」ボタンをタップすることで、マイナポイントの予約が完了します。
 予約にかかる時間は数分程度で、スマートフォン操作に慣れている方であれば2~3分程度で予約をすることができます。

(2)マイナポイントの申込

 マイナポイントの予約が終わったら、マイナポイントの申込を行いましょう。
 マイナポイントの申込は本年7月以降、対応可能な決済サービスから順次行うことができます。決済事業者のシステムの準備が完了次第、最終的には100を超えるサービスで申込が可能になる予定です。マイナポイントの申込は予約と同様、「スマートフォン」や「パソコン」から行うことができます。
 スマートフォンでの申込の場合、「マイナポイントアプリ」を起動し、「マイナポイントの申込」をタップしてください。画面に従ってお好きなキャッシュレス決済サービスを1つ選択した上で決済サービスIDとセキュリティコードを入力することで、マイナポイントの申込は完了です。
 本年9月以降、選択したキャッシュレス決済サービスでチャージ又は買い物をすると、選択したキャッシュレス決済サービスのポイントとして、マイナポイントが付与されるようになります。

(3)マイナポイント手続スポット

 マイナポイントの予約・申込は「スマートフォン」や「パソコン」から行うことができますが、それぞれマイナンバーカード読取対応端末であることや別途カードリーダライタが必要となります。
 そのため、対応端末を持っていない方、また操作に不慣れな方が、身近な場所で支援を受けられるように「マイナポイント手続スポット」として、約9万拠点の民間事業者の店舗などにおいて端末を設置しています。具体的には本年7月以降順次、全国の郵便局や携帯ショップ、コンビニエンスストアなどで、マイナポイントの予約・申込が行えるようになります。また、1,684市区町村においても団体ごとに支援計画を策定し、令和2年6月18日時点で1,492団体が支援を実施しています。
 自分の住んでいる町の身近なスポットがどこにあるのかはマイナポイントのHPサイト(*)で検索することができます。

(4)手続きの際の注意点

 マイナポイントの予約・申込にあたって、いくつか気を付けていただきたいことがあります。
 1つ目は本年9月以降のチャージや買い物に対してマイナポイントが付与されるという点です。マイナポイントを申し込んだ方が8月末までに行ったチャージや買い物については、マイナポイントは付与されないため注意してください。
 2つ目は一度申し込んだサービスについては、原則として後で変更することができないという点です。サービスの選択は慎重に行ってください。
 3つ目は予約・申込時のマイナンバーカードの利用者証明用電子証明書の数字4桁のパスワード入力についてです。このパスワードについては3回間違えるとロックされてしまうため慎重に入力をしてください。

図-2 マイナポイント取得までの手順

図-2 マイナポイント取得までの手順

4 おわりに

 マイナポイント事業は本年7月から申込が開始し、いよいよ9月から付与・利用が始まります。マイナポイント事業の成功のためには、地方公共団体・民間事業者をはじめ、関係者の皆様からの協力が不可欠であり、今後とも丁寧な情報提供を行っていきたいと考えています。

  •  (*) https://mynumbercard.point.soumu.go.jp/reserve_search/